【怪奇小説】ヒトデ男の恐怖~川口弘探検隊が洞窟に入る~

~川口弘探検隊が洞窟に入る~
代田橋のモヤシの住んでいるアパートの裏。ヒルアンドンこと安藤正義巡査長の指揮のもと、地下下水道を調査する探検隊が集まっていた。小学生たちがいなくなって一週間弱。安藤はどうしてもっと早くこの下水道の存在に気づかなかったのか、と悔やんでいた。日にちがたちすぎている。しかし、今は奇跡が起こるのを信じるほかはなかった……。
集まっているのは、ヒルアンドンの他は北沢署の警察官、商店街や町内会の有志など。なにが起こるかわからないので、身体のじょうぶそうな、いつ死んでもいいやつだけを呼んだ。珍保長太郎はバイトのバカと参加していた。
「店長、来てくれたのか。ありがとう。助かるよ」
いつになく忙しそうな安藤。あまり昼行灯のようには見えない。
「うー」
とくに言いたいことはなかったので、珍保長太郎はうなって返事の代わりにした。去っていく安藤の背中を見て、珍保長太郎がよけいなことを言う。
「酒が入るといっしゅんでクズ人間になるくせに、まともな人間のふりをしてやがるな。まるで、警察官のコスプレをしているようだ。ケケケケ」
あざ笑う店長を見て、バカがカチンとくる。
「店長、ひどいじゃないですか。ヒルアンドン巡査は子供たちの命を救うためにぜんりょくを尽くしているんですよ。彼がいなかったら、地下下水道の入り口は見つからなかったことでしょう」
珍保長太郎は、探検の前に軽くこのバカを殺して、柔軟体操の代わりにすることにした。首の骨をへし折るべく、腕を振り上げたところで、バカが口を開いた。
「そうだ、店長。いいものを持ってきました」
バカが背中に背負っていたリックからL字型の棒を出す。
「ダウジング・ロッドです」
「なんだ、そりゃ」
珍保長太郎が、腕を振り上げたまま聞く。振り向いたバカは、なぜ店長は腕を振り上げているんだろうか……、と不審に思ったが続けた。
「日本では水脈占いとも言われているダウジングに使われる占い棒です。海外では昔からこれで地下水脈や鉱脈を探しているんですよ。古代からの長い歴史を持つもので、決してニセ科学ではありません」
オカルトマニアであるバカは、とうとうと述べた。
「ただし、誰にでも使えるというものではないんですよね。サイキックな感受性が必要になるんです。超能力とまで言いませんが、それに近い能力がいります。私は人知れない修練を積み、これが使えるようになりました」
偉そうに言うバカ。珍保長太郎の目つきがワニのようになったが、自分の話に夢中のバカは気がつかない。
「それで、ダウジング・ロッドは人間を探すこともできるんです。地下下水道は迷路のようになっているらしいですからね。かならずしや、この棒が活躍すると思います!」
自信満々に言い終わるバカ。
「なるほど」
ヒョイとダウジング・ロッドを奪い取った珍保長太郎。いっしゅんのためらいもなく、バカの目に突き刺した。
「ギャアアアアアアアアアアアッ」
悲鳴をあげるバカ。飛び出した目玉がブランブランと揺れている。
「ハハハッ! なるほど、これは目玉を突き刺すには丁度良い棒だなッ!」
うれしそうな珍保長太郎。地面に倒れてのたうちまわるバカ。ふたりは隅っこの方にいたので、他の連中は誰も気づいていない。
「うおおおおおおおッ」
後ろの方で歓声があがる。珍保長太郎に負けずに楽しそうだ。見ると、地元の沖縄タウンの人たちが、泡盛を持ってきて、探検の成功を願って乾杯をしていた。
「安藤隊長の成功を願ってかんぱーい!」
「かんぱーい!」
なんだか、へんな盛り上がりを見せてきたので、根が真面目な安藤はしぶい顔をしているが、商店街のおっさんたちは、いい感じで酔っ払い始めていた。もちろん、警察官たちは飲んでいない。
「ええと、このままでは、泥酔して怪我人が出そうなので、さっさと入ることにしましょうか」
安藤の音頭で、探検隊は歓声をあげながら下水道の入り口に入っていった。誰か酔狂なやつが紙テープを投げた。爆竹が鳴る。安藤はめまいがしてきたが、気にしないことにした。奇妙な行列が四つん這いになって、下水の口に入って行く。最初は警察官たち、続いて地元のおっさんたち、最後が珍保長太郎と目玉を入れ直したバカ。
「ばんざーい!」
「ばんざーい!」
勘違いしたやつが万歳三唱を始めて、人々が呼応する。みんな、だいぶ、酔っ払っているようだ。探検隊は、声援に送られて、勇ましく進んでいった。
入り口にあった柵の残骸は外されていた。しばらく行くと広い本管に出る。懐中電灯で照らして見ると、そこから先、無数の枝道が出ているのがわかる。だから、多人数が必要だったのだろう。
「思ったより臭くないな……」
珍保長太郎は、ひとりごちた。しかし、水量はけっこう多い。うっかりすると、転んで流されそうになる。どこもかしこもヌルヌルしているので、なかなか危険だ。小学生などは、ゴロンゴロン転がされて、あっというまに下流まで流されていくのではないか。
バシャ。
「ん?」
珍保長太郎は水流の中に、大きなヘビのようなものを見たような気がした。
 
あらすじ
呪われた町、代田橋。ここでは今日も怪奇現象が勃発していた。どうやら河童のような生き物が、赤堤沼から現れて、人間を襲って食っているらしい。『ラーメン珍長』のコックで殺人鬼の珍保長太郎は事件の解明に挑む!
登場人物
珍保長太郎:『ラーメン珍長』店主
バカ:新実大介
ヒルアンドン巡査長:安藤正義
弱虫探偵団
モヤシ:坪内文二
キチガイ:今金弓彦
デブ:田淵哲
モヤシの母:坪内伊佐子
モヤシの兄:坪内拓也
中学生:唐木政治
中学生の弟:唐木将紀
ウルトラ:門前正月
旦那:中島圭太
奥さん:中島ルル
娘:中島グミ、5歳
小犬:モップ
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