死骨 あらすじ

四十億年前。ペルセウス座二重星団から来た宇宙船が地球に不時着する。ペルセウス人たちは『人の感情の動き』をエネルギーとして利用する独特の文化を持っていた。彼らは、『マインドワープ航法』に使う『マインド・エネルギー』が、ほぼゼロになってしまったので、地球に生物が現れ文明が誕生し豊かな『感情波』が溢れるのを待つしかなかった。

ペルセウス人たちは無限に近い長寿を誇っていたが、彼らにも四十億年は長すぎて、本人たちが気付かない間に異常人格者に変わっていた。彼らは邪悪な存在となり、地球の歴史に関与しては恐怖をもたらし、その『感情の波』を『マインドバッテリー』に蓄えることに夢中になっていた。

1979年、ボーイング七二七型機『エド号』が、大学生のグループ『赤い狼』にハイジャックされて北朝鮮に亡命した。しかし彼らは思っていたような歓迎をされず軟禁状態になる。リーダーの左右光一は、金正日と口論になり殴られて植物人間になってしまう。

左右光一は植物人間となった体の中で長い年月を過ごしていた。できるのは考えることだけ。この状況に激しい怒りを感じるようになった左右光一は、猛烈に『考える能力の筋トレ』を始める。左右光一は心の中にほぼ現実と変わらない王国『ドリームランド』を作り出した。その夢の力に引き寄せられた感受性の強い人間たちが『夢の国』の住人となる。彼らは寝ている間だけ夢の世界の住人になるのだ。左右光一は『ケーキ王国』のモンブラン王子になっていた。モンブラン王子は妹のイチゴ姫と愛し合っていた。

ペルセウス人たちは『ドリームランド』に強い『感情波』を感じて、ゾンゾンとゾンブラというモンスターを使い、文字通り『夢の国』を貪り食い始める。モンブラン王子の妹のイチゴ姫は現実世界では元少女漫画家の老婆、千寿初絵だった。『ドリームランド』は『夢』なので現実の年齢やキャラクターは関係がない。千寿初絵は『ドリームランド』を守るために、この世界の秘密を調べ始める。

千寿初絵は『ドリームランド』がどうやらモンブラン王子こと左右光一が作り出した夢だと気付く。きちがい科学者『ドクター・アルバート・アインシュタイン』が持っていた『現実ノート』を元に、現実の世界で、夢の住人たちを訪ねて歩く。しかしモンブラン王子の居所だけはわからない。ペルセウス人たちの侵食によって『ドリームランド』は小さくなっていく。それとともにモンブラン王子の存在は希薄化して腐敗を始める。

千寿初絵はモンブラン王子の部屋の奥に、左右光一の頭の中に通じる小部屋を発見する。左右光一の目を通して現実世界が見えた。左右光一は植物人間で末期ガン。北朝鮮の病院にいるらしい。死ぬ前に日本に密入国させる計画が進んでいた。行き先は『死骨』という町だった。千寿初絵は現実のモンブラン王子に会いに『死骨町』に行く。

『ドリームランド』の悪徳商人である山本商店とその秘書は、現実では倒産しかけている老舗繊維会社の三代目、山本伍郎と秘書の花井クレアだった。二人は愛人関係だったが、結婚をしたい花井クレアは、わざと妊娠して山本伍郎に結婚を迫る。ところが山本伍郎には、得意先企業の娘との縁談が持ち上がっていた。中絶を拒む花井クレアに会社側は死神ゴリラと呼ばれる『殺し屋』を差し向ける。身の危険を感じた花井クレアは、夢の中に出て来た駅名『死骨町』行きの切符をとっさに買って逃げ出す。花井クレアは、生まれて来た赤ん坊を見たら、伍郎が反省して愛がよみがえると信じ、どこかに隠れて子供を産もうと考えている。

『死骨町』に向かう電車の中で、東京から来た休職中の警察官、安藤正義は若い高校教師、粭はじめ(すくもはじめ)と知り合い意気投合する。安藤正義はもう誰も住んでいない実家を休職中に修復しようと考えていた。安藤正義はさらに、電車の中で、『訳ありで逃避行をしているらしい美女』花井クレア、『夢の中の王国の王子を探している頭のおかしな老婆』千寿初絵とも知り合う。粭はじめは花井クレアに一目惚れをする。

安藤正義は、学生の頃に恋人、土屋びわが北朝鮮のスパイに射殺されたというトラウマを持っていた。北朝鮮のスパイは拉致誘拐のため、深夜に『死骨町』に上陸していたのだ。久しぶりのふるさと『死骨町』はバカ町長こと鹿馬宗一郎に牛耳られていた。バカ町長は『UFOフェスティバル』で町おこしをしようとしていた。それから安藤正義は土屋びわの墓参りに行って、警察官をしているびわの兄、土屋仙一と対立する。土屋仙一は安藤を妹の死の原因と考えて憎んでいる。

粭はじめは元レスラーの教師。問題を起こして学校をクビになり、『死骨高校』というキリスト教系の学校に採用されてやってきた。ところがこの学校は、キリスト教保守派のカルト教団『海のキリスト教会』に支配をされていた。大道一生神父は夢の中に現れたキリストに啓示をうけて『海のキリスト教会』を作った。そのキリストこそ、夢の中を自由に出入りする文化を持つペルセウス人のヒッパルコス船長だった。

以下果てしなく続く。

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