【怪奇小説】ヒトデ男の恐怖~ヒトデ男の恐怖~

~ヒトデ男の恐怖~
獲物が手に入らないところに行ったことを知ったヒトデ男は、赤堤沼に戻って行った。月の光が雲にさえぎられて届かなくなると、セルロイド人形の子供たちは、ただの人形に戻って行った。陽気なタヌキの楽隊は野生動物に戻り、しばらく、きょとんとしてから、茂みの中に隠れていった。
このセルロイド人形は、奇形で生まれたヒトデ男を哀れに思った母親が長年に渡って買ってくれたものだった。ヒトデ男は閉じ込められて育った。そのことを後ろめたく思っていた母親はいろいろなプレゼントを送ったのだ。
ただ、大きくなって知恵がついてからは、母親にばれないように、こっそりと外に出るようになった。
ヒトデ男は、自分たちが人前に姿を現わすことができないほど醜い姿であることを理解していた。そこで赤堤沼につながっている下水道を利用して移動した。
ヒトデ男の一郎二郎三郎四郎は、自分たちをこんな醜い姿に生んだ運命を憎んでいた。神を憎み、この世を憎み、全人類を憎んでいた。五郎だけは知性がなかったので、そういう論理的な考えは持っていなかったが、熱狂的な殺意だけは持っていた。
ヒトデ男は赤堤沼のほとりで気絶している小学生ふたりを、生き餌として巣に運んで行った。ヒトデ男は人間五人分の力を持っていたので怪力だった。巣は大家のボロ家の二階にあった。
巣の中でキチガイとデブは目を覚ます。身体に蜘蛛の糸のようなものが、からみついていた。痺れたように動けない。この糸には麻痺成分が入っているのかもしれない。
「臭い……」
デブが顔をしかめる。デブのくせに匂いに敏感なのである。見ると周り中に死んだ人間が転がっていた。中には半分くらい食われているものもある。ハエがたかってウジが湧いていた。
「あれを見ろよ」
デブがキチガイに言う。家出したと言われていた小学生の女子の死体があった。ミイラ化している。
「やはり、みんな、こいつがやっていたのか……」
ふたりはぼうぜんとしていた。
俺たちは地獄の中に足を踏み入れた……。


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死骨

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今から40億年前。ペルセウス人たちの宇宙船が故障し地球に不時着した。ペルセウス人は夢と現実のあいだを行き来する不思議な文明を築いていた。彼らは「感情波」と呼ばれる「人間」の感情の動きをエネルギー化して利用していた。そのバッテリーがゼロになってしまったのだ。

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