【怪奇小説】空手対幽霊〜蛇の目覚め〜
〜蛇の目覚め〜
空き家を出て行く鉄玉郎の後ろ姿を見ている人影がいた。
新宿警察署刑事部、青田寧男だった。青田が、何件もの連続殺人に関係していると確信している血に飢えた殺人鬼、黒岩鉄玉郎は妙にすっきりした顔で出てきた。 ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜子供の命はないぞ〜
〜子供の命はないぞ〜
その時、部屋の入り口で、小さな悲鳴が聞こえた。
見ると、先ほどの昆虫採集の小学生が立っていた。
気味が悪い。
おそらく、中でがたがたやってるので、セックスでもしてるのかと、よだれを ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜福祉界の、やくみつる〜
〜福祉界の、やくみつる〜
「いいなあ」
気の抜けた声がした。如月が既に死体になったような土色の顔でいぶかしげに見上げると、鉄玉郎がさわやかな顔で立っていた。
メールを見て、遅ればせながら来たようだ。
あ ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜血の袋〜
〜血の袋〜
そこに携帯電話がかかってきた。敬愛する鉄玉郎さんかと思って、如月が出ると馴染みの客の女だった。ホストクラブの早朝営業の前に、如月と食事をしようという誘いである。ちょうど良いので、如月は女をこの駐車場に呼んだ。それか ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜人間の刺身〜
〜人間の刺身〜
飯塚の心配そうな顔を見て、如月は心の底からこの気の弱い中年を軽蔑した。飯塚の気が変わらないうちに、如月は行動に出ることにした。
ちょいと店に戻り、厨房から刺身包丁を手に帰ってきた。ホストクラブ『江戸男』 ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜オシッコ大好き人間〜
〜オシッコ大好き人間〜
『江戸男』の営業時間は、風営法により第一部が午後五時から午前一時、早朝営業が午前五時から午前十時までになっていた。
第一部の営業が終わってから、如月はノロマを裏口から店の駐車場に引きずり出した。 ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜変態という障害〜
〜変態という障害〜
吹き荒れる強烈な嵐の中に、田中は立っていた。チンチンもニョッキリと勃っていた。
そうだッ!
射精さえしてしまえば、このばりばりに硬くなった黒ネズミは、大人しくなるに違いないッ!
と田 ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜神は時には極めて悪魔的〜
〜神は時には極めて悪魔的〜
時間はすでに深夜一時。散歩=覗きを始めて、二時間近くが経過していた。身体はかなり疲れた。しかし、精子袋は田中を歩かせ続けた。断じて許してくれなかった。非情で無慈悲。股間でサタンが笑っていた。今夜は満 ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜薄くて黒い田中康司〜
〜薄くて黒い田中康司〜
時間は夜の十一時。田中は散歩に出ることにした。
「ザ・ミッドナイ〜ト。くふふ」
三流大学しか出てないが、田中は基本的にインテリだった。ただの散歩に出るにも、つい横文字が口をついて出てしま ...
【怪奇小説】空手対幽霊〜気持ちの良い寄生虫〜
〜気持ちの良い寄生虫〜
裕恵は背中を向けて床に寝ていた。いびきは聞こえないので、寝たふりをしているだけ——豚と関わりたくはないので——かも知れないが、よくわからなかった。
ここでなにか気のきいた声をかけないとならない気 ...